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多くの会社員がついそわそわしてしまうのがボーナスシーズン。明細を見て一喜一憂することもあると思いますが、ここで気になるのが「額面」と「手取り金額」の違いです。
「賞与は月額○ヶ月分」と聞いていたはずなのに、手取りで見るとずいぶん天引きされていてがっかりしてしまった、という経験をお持ちの方もいるかもしれません。ボーナスはもともとの額面が毎月の給与と比べて大きいことが多く、引かれる税金の金額も増えるので、特にたくさん天引きされている印象を持ちやすいようです。
また、ボーナスは税金の計算方法が毎月の給与と多少異なるため、手元に入る金額が予想しにくいと言われています。家計簿で年間の収入と支出をしっかり管理したいと思っている人には少し困った話ですが、それだけに、ボーナスからどんな税金が引かれているのか、だいたいの手取りはいくらになるのか自分で把握できればお金の管理はもっとしやすくなるはずです。
それでは、ボーナスから控除されている税金についてその詳細を見ていきましょう。
ボーナスの手取り額は、簡単に言うと「額面-(@社会保険料 + A源泉所得税)」という計算式で求められます。
保険料率はあらかじめ決まっているため、額面金額に対して一定の割合でかかります。
この他に、40歳以上の人なら介護保険料が加わります。
健康保険と厚生年金保険の保険料率は、全国健康保険協会のHPから知ることができます。各都道府県で独自に定められていますので、自分の地域の保険料率をチェックしてみましょう。
たとえば東京都の場合、平成28年度9月分の健康保険料率は9.96%(介護保険を含む場合は11.54%)、厚生年金保険料率は18.182%です。保険料は労使折半で納めることになっていますので、それぞれ1/2にした率が賞与の額面から差し引かれています。
所得税は、原則として以下の条件を源泉徴収税額の算出表に当てはめて計算します。
所得税は賞与支給の前月の給料をもとに計算するため、「ボーナス支給月の前月にたくさん残業すると税金が高くなる」と言われることがあります。
確かに一見すると控除額が増えたように見えますが、改めて年間ベースで計算した後、税金を多く引かれすぎている場合は年末調整で戻ってきますので、実質の控除額にはあまり影響はありません。
前述のように、ボーナスにかかる所得税の税率は、前月の給料から社会保険料を控除した後の金額と、扶養親族の人数から計算することができます。
国税庁ホームページには「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」が掲載されていますので、自分の条件が当てはまる税率はそちらで確認すると良いでしょう。
たとえば、前月の社会保険料控除後の給与が30万円で扶養親族が1人いるケースでは、税率は6.126%であることがわかります。
例として、額面で30万円のボーナスが支給された場合(扶養親族1人、介護保険料なし)の手取り金額を、東京都の保険料率を基準に考えてみましょう。
◎ 300,000-(健康保険料:14,940円+厚生年金保険料:27,273円+雇用保険料:1,200円+所得税:18,378円)=23,8209円
このように、額面で30万円のボーナスは約6万円ほど差し引かれ、手元には24万円程度が残る計算になります。
「昔はボーナスの税金はこんなに高くなかったな」と記憶している方や、上の世代からそんな話を聞いたことがある方も多いと思います。それは制度上、十数年前まではボーナスから税金や社会保険料がほとんど引かれていなかったためです。
2003年の4月に「総報酬制」が導入されて以降、所得税や保険料は給与のみでなく、ボーナスを含めた年間の総所得に対して課すことになりました。その結果、制度が変わる以前に比べるとボーナスの控除が増えることとなったのです。
とはいえ、「総報酬制」はそもそも保険料や税金徴収の不公平を改めるために導入された制度です。
給与のみに課税している場合、ボーナスは少なくても給与そのものが高額な人と、ボーナスは多いが給与が低い人とでは、課税率や保険料負担が変わってきてしまいます。
しかし、ボーナスを含めた全体の所得に課税することによって、現在では年収が同じ人なら徴収額もほとんど変わらないよう調整されています。
この制度のおかげで、たとえボーナスが少なくても控除の面では損はしていない、ということだけは覚えておくと良いかもしれません。
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