- 学生時代はひたすら真面目でした。
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前職は800名規模の開発会社。SNSゲームをするならおそらくご存じの会社です。そこが新卒1社目で約2年勤めましたが、とくにいい思い出はありません(笑)。学生のときは「とにかく有名企業」という就職活動でした。じゃないといままで何のために一生懸命勉強してきたのかわかりませんでしたし、正直、周囲の目も気になっていました。
ただ運良く入社したものの同僚たちの「わっしょーい」みたいな独特なノリについていけず……。人間関係に疲れ居場所をなくし体調も崩し、もういっそ田舎に帰ろうかな、そんなことさえ思いました。一応親にも電話で相談してみたのですが、「人間関係はどこに行っても付きまとう問題」と一喝。技術は好きです。仕事も嫌いじゃない。
ノリが大切なのもわかる。でもどうしても合わないものは合わないじゃないですか。「新しく仕事を探すなら、せめていまの仕事を続けながら」電話を切ったあとも親の妥協案が頭を巡っていました。
- 写真に目が留まった。
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いつの間にか求人サイトや求人誌を眺めるのが日課になっていました。眺めているだけですこし気持ちが楽になったり……。いま思うとかなり追い詰められていたのかもしれませんね。
そんな生活のなかで、なんとなく目に留まった求人がありました。正確には写真です。変な言い方になってしまいますが、写っていたのは数人のおじいちゃん。皆さん白髪。おそろいの作業着みたいなものを着ていたので一瞬、工場の求人かなと思いましたが、職種名を見るとIT技術者の募集記事でした。
当時の同世代中心の職場とは完全に真逆。そんなところに興味を持ち読んでみるものの内容に関してはよくわからなかったというのが本音で(笑)。私自身、ITのなかでもWeb系の技術者でしたので、企業様の基幹系分野には疎く、どうしようかなと思いましたが技術で似通っていた部分もあり、とにかく知ってみるだけでもいいかと思ったのでエントリーしてみました。いま思えば、写真に写っている方々がなんとなく優しそうに見えたというのもあったと思います。
- 面接というか歴史の授業!?
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パーテーションで区切られているだけですので、担当を待っている間も社内の声が漏れ聞こえてきます。歓談している声やお客様とお話しているだろう電話の声など、会社が変われば雰囲気が違うもんだなぁと思いながら待っていたことを覚えています。
面接担当は社長でした。経営者というよりは生粋の技術屋みたいな印象。最初こそお互い自己紹介や業務の話などがありましたが、それ以降ほとんどは雑談のようなものでした。目上の知らない人と話すなんてもっと緊張するもんだと思っていましたけど、意外とそうでもなく。先にその人の顔を写真で見ていたというのも安心材料だったのかもしれません。
面接の中で驚いたのはITの歴史の講義です。社長から「こういうの眠くなっちゃうかもしれないけれど」という前置きがあって、君が生まれる前の国内IT業界はこうでした、それがいまはこうなっているんですよね。で、このときの変化にともなって求められる技術もこう変わって……みたいな話がありました。ただ歴史をなぞるだけではなく、実際の企業名や、その時技術者がどう感じ・どう動いたかを丁寧にお教えいただけたので臨場感があって非常にためになりましたし、業界の裏話みたいなのはもともと興味あるほうなので(笑)、来て良かったと思いましたね。
- 納得の環境を手に入れたと実感。
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好きになってしまったんですね。仕事内容ももちろんですが、その会社独特の雰囲気を。おこがましいですが「素朴なIT会社」というイメージが自分のフィーリングと完全に一致したというか。こういうのは説明が難しいですね。業務スタイルとしては客先と自社を行ったり来たりで、現在は基幹システムや業務アプリケーションの開発を担当しています。
派手さはありませんが見えないところで役に立つという部分が性に合っていると感じますね。最近ではプログラムをガシガシ作るのもそうですがSE的な仕事もさせていただいていてそこにも面白みを感じています。
ここに来てなぜか、あまり好きではなかった顧客との折衝なども急に楽しくなりました(笑)。不思議ですよね。僕らの世代はいろいろ言われていますが、ハマればがんばれるんです。実力不足はある意味仕方がないです。だって若いんですから(笑)。でももしそれ以外の部分で「なにか合わない」という感覚をお持ちなら外に目を向けるのもアリかと思います。個人的には本人の感覚以上の正しさはないと思っています。今はただ純粋に、ここの人たちの役に立ちたいです。