- 焦って決めた一社目
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大学時代はバイト三昧。「おれの居場所はここ(バイト先)だ」と強がっていましたね(笑)。実際そのバイト――焼肉店だったのですが、すごく楽しかったんです。そっちに忙しいのもありましたし、やりたいことも分からない。就職活動もほとんど力を入れず、のんびりやっていました。ただ、年も明け卒業が近づくにつれて、「(卒業したら)どうすんの?」という周囲の声になんとなく焦りが。
そこからなんとか頑張って、運良く機械加工メーカーの追加募集に滑り込めたのですが……情けないことに入社後3ヵ月で退職です。資材管理部という部署に配属され、やることはわりとすんなり覚えられたのですが、ほとんど人と話す環境ではなく黙々と部材の伝票や資料と格闘の日々。慣れてないというのもあったと思いますが、あまりにも仕事に興味を持てなさ過ぎました。大変申し訳なく思いながらも、結局退職という形に。そのときは仕事をすること自体に自信をなくしてしまいましたね。
- 自分を見つめ直すとやっぱり……
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ただそれで腐ってるのも良くないということで改めて自分のことを振り返ったとき、やっぱり「人と接するのが好きだ」ということに気づきました。接客サービス業、そのなかでも飲食であれば少なくとも興味を持って続けられると感じたんです。一瞬、前のバイト先に戻らせてもらおうかなと思いましたが、気恥ずかしいのもあって(笑)。
いろいろ調べてみると、サービス系の求人はけっこうあるんですね。「既卒歓迎!」「うちは労働環境ばっちりですよ!」「休みが月9日」「残業ほぼなし」「ボーナス3回」などとにかく派手な言葉ばかりで。最初は正社員になれればどこでもいいぐらいのノリだったのですが、こうなるとちょっと欲が出てくるんですよね(笑)。条件がどんどん増えます。なかにはいきなり月給30万円以上からという求人もチラホラありますし。
- 実際に行ってみました。
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そのなかでピックアップした3社の店舗に、実際に足を運んでみました。会社訪問とは違ってけっこう気軽に見に行けるのもこの業界の特徴かもしれませんね。行く前まではとりあえず店ぐらい見ておこうぐらいの気持ちだったのですが、いざ行ってみるとスタッフさんの動きを目で追ってしまうんです。
なんとなく気になったのは表情です。行ったなかで笑顔が抜群にいいところがあって、そこも焼肉屋さんでした。とにかく繁盛しているお店で、人もごったがえしています。そんななか気配り・目配りがしっかり行き届いていましたし、スタッフさんたちが元気なのも好印象。一言でいうと気持ちがいい接客でした。
- 見つけた目標
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その焼肉店で、自分と同い年ぐらいのスタッフさんがいて、名札を見ると店長さんでした。元気なだけじゃなく丁寧な言葉遣いで、とにかく大人に見えたんです。「すげえ」と「ちくしょう」を同時に感じた瞬間で、こうなれたら、と思うのに時間はかかりませんでした。そこから家に帰って速攻でエントリーし、すぐ呼んでもらってとんとん拍子に入社という運びになりました。
現在はその店舗ではありませんが、副店長として接客はもちろん管理業務などを任されています。お客様商売ですからいろいろあったりするのですが、やっぱりサービス業独特の雰囲気が好きだなと改めて実感する毎日です。前職の機械メーカーでは苦手だと思っていたいろいろな管理業務も、不思議なことに相手が「人」であれば苦じゃなくなるんですね。将来的には、自分の納得いくような接客やサービスを提供できるように、メンバーと力を合わせて店を作り込んでいきたいと思っています。