2自分自身の棚卸
2.7 自分の強みと弱み
(1)個々の棚卸結果をまとめてみる
さまざまな角度から自分の棚卸をやってくると、自分自身に対する気づきが促進します。いろいろな気づきの中で、キャリアデザインという観点から言うと、これからの人生やキャリアを何が支えていくのかということへの気づきは非常に重要です。
それが経験なのか、能力なのか、知識なのか、人脈なのか、しかし、恐らく何か1つの要素がこれからの人生やキャリアを支えていくということはないでしょう。そうではなく、じぶんのさまざまな資源、持ち味、特徴の組合せ、これこそまさにその人らしさの根幹に来るものですが、その総体としての強みが人生やキャリアを支えて行くに違いないのです。 また同様に、経験、能力、知識、人脈等のどれか1つがというよりも、それらの総体としての弱みを克服することが、今後の重要な課題になってくるのです。
例えば経験と能力の優れた点と人脈の不足の両者があってのその人の強みが形成されるということがあり得ます。人脈が不足しているがゆえに、自力に頼らざるを得ず、そこにその人の行動力の面での特徴がプラス面で生かされるならば、その総体がその人の強みとして作用するということなのです。
別な言い方をすれば、何もかも優等生が本当に強い人間なのかということでもあります。何か足りないところがあるために、それを補おうとする姿勢、行動がその人の強さを生み出すということはあるのです。
ですから個別の棚卸のための分析にとどまることなく、それらを総体として分析するために、自分の「強みと弱み」という視点で、棚卸結果全体をまとめる必要があるのです。
(2)強み、弱みの分析
まず今までの個々の棚卸結果に対して、個別にこれは自分の強みだ弱みだというものを探し出してみましょう。次にそれらの強みどうしを組み合わせてみてさらに大きな強みにならないか、それらの弱みが合わさることによってさらに大きな弱みにならないか考えてみましょう。
そして最後に、その強みが本当の強みとして自分を支えるとするならば、トータルとして自分を見たときに、ある意味での隠し味的な弱みの存在があるのかどうかを考えてみてください。
同様に、何か他の強みがあるがために、その弱みが本当の弱みになることはないか、考えてみてください。
このようにして考えると、強みや弱みの記述の仕方は、今までの分析結果を組み合わせたような書き方になるかもしれません。
(3)強みも弱みも相対的なもの
強み、弱みの分析を進めていくと、これは本当に強みなのだろうか、弱みなのだろうかという疑問に直面することがあります。それは強みも弱みも相対的なものだからです。例えば銀行での職務経験の長い人が信用金庫に転職をした場合は、銀行経験は強みになるでしょう。しかし同じ人が流通業に転職をした場合は、よほど自己変革能力が高くなければ、銀行経験が発想や思考の偏りとなって、それが弱みになる可能性が大きいと思われます。
それではどうしたらよいのか。ここでもやはり将来のビジョンや目標が登場します。このビジョンを達成しようとしたならば、この目標を達成しようとしたならば、これは強みなのか弱みなのかというように考えるしかないのです。
相対的なものを確定させるためには、何かの軸を固定させなければなりません。ここではビジョンや目標を固定的な軸として、それに対して強みになるか弱みになるかという判断をしていくのです。
ですからビジョンや目標が変われば、それまで強みだと思っていたことが弱みになることもあり得るのです。
そして、最後に相対的なものに序列をつけるために、自分が確認した強み、弱みに対して、最大の強みからあるいは最大の弱みから順に、順位をつけてみてください。これもビジョンや目標を達成するためにという判断軸に基づいて順位をつけることになります。