中途採用の選考においても、筆記試験が課されるケースは少なくありません。とはいえ、新卒の大学生の能力を測るものと比べれば、規模も目的もまったく違うというケースがほとんどです。

新卒の場合は、ビジネスマンとして最低限のスキルを備えていることを確認し、入社してからスキルを伸ばしていけるのかが主に評価の対象となります。しかし、中途採用の場合は、既に持っているスキルであったり、これまでビジネスマンとして培ってきたスキルだったりが見られると考えるとよいでしょう。

そのため、中途採用で転職を志している人が、新卒と同じように筆記試験の対策を進めても、的外れとなる場合が多いのです。それでは、中途採用において転職を志すとき、筆記試験対策としてどのようなことを心がければよいのかについて、具体的に見ていきましょう。

冒頭でお話した通り、新卒採用と中途採用では評価されるポイントが大きく異なります。その違いは筆記試験という形でもあらわれることが多く、場合によっては筆記試験というものが存在しない場合があります。筆記試験があったとしても、形だけのものであったり、簡易的なものであったりするケースが多いのです。

とはいえ、大企業や専門技能を必要とする求人を中心に、しっかりとした筆記試験を課される場合がないわけではありません。中途採用における筆記試験は確かに新卒採用における筆記試験よりもハードルが低いものではありますが、だからこそここでつまずくのはもったいない話です。

最低限の対策はおこなっておき、自身も採用担当者も安心して転職についての話し合いができるようにしておきましょう。それでは、中途採用の筆記試験において、どのようなものが課されるケースが多いのか、どのように対策するのがよいのか、見ていきましょう。

性格適性検査は、簡単な質問にスピーディーに答えていき、あなたの性格の傾向を見る筆記試験です。傾向を分析するものなので、正解がある種類のものではありません。しかし、適性検査をするのですから、もちろん、企業が好む性格というものはあります。例えば、前向きであること、ポジティブであること、粘り強いこと。これらの要素が高いほど性格適性検査の結果は良い印象を与えることでしょう。

とはいえ、自分の性格を偽ってまでこの試験に模範的な回答をするべきかと問われると必ずしもそういうわけではありません。この種類の試験には、受験者が嘘をついていることを見破ることができるアルゴリズムが搭載されていることが多いためです。つまり、基本的には、自分に当てはまると感じた項目を正直に選択するのが正解といえるでしょう。

いつもの自分より少しだけテンションが高い時や調子がいい時を思い浮かべて回答するのがちょうどいいでしょう。後に控える面接において、矛盾が発生しないようにあくまでありのままに解答するのがポイントです。

能力適正検査はあなたの知識や能力を見るための筆記試験となります。ビジネスマンとしての基本的な適性から、総合力を見るものですので、特定の分野を集中的に勉強すれば良いというものでもありません。

日頃から一般常識に関する数字のデータを見たり、時事問題に触れておいたりと、ビジネスマンとしての基礎能力を高める活動をおこなうことが対策といえるでしょう。

こうした基礎力を高める対策をすることは、日々の活動や、この後に控える面接にも役に立つ内容となります。積極的に取り組むようにしましょう。例えば古典的ですが、新聞をきちんと読み、経済的な時事問題などを理解することが対策となるはずです。

企業によっては独自の筆記試験を課す場合があります。この試験対策については、事前に情報がない場合もありますので、対策が非常に難しいもの。

この場合の対応策としては、口コミサイトで例年どのような試験が実施されているか、あらかじめ情報を得ておくということが挙げられます。もし、口コミサイトで試験対策に関する情報が得られるのであれば、その情報に従って対策をおこないましょう。

一方で、つかみどころのない筆記試験であれば、必要以上に深追いする必要もありません。不安になってしまうよりも、ビジネスマンとしての基礎的なスキルは高めることを意識しつつ、面接対策に力を入れるという形の方が建設的でしょう。

どちらかというと、転職における中途採用では、筆記試験よりも面接に評価の比重が偏りがちです。採用担当者が見たいのは、あなたがこれまでビジネスマンとして培ってきた経験やスキルです。これが筆記試験という形で定量化することが難しいため、自ずと筆記試験の結果は評価されにくくなっているのです。そのため、もし筆記試験がうまくいかなかったとしても、面接にて挽回できる余地は十分にあります。

とはいうものの、筆記試験の対策は不要というわけではありません。筆記試験は普段の心掛けや基礎能力を問うために実施されます。つまり、常識的なことで大きく欠けている分野がないかどうかを確認するための試験です。わかりやすく特定の分野を対策することはできませんが、普段から新聞を読んでおけば十分でしょう。印象を良くすることが難しい筆記試験に注力しすぎるよりも、対策のしやすい面接に時間を割き、バランスをとることをお勧めします。