私たちはいつでも数えられないほどの課題を抱えています。また1つの課題を達成しても、すぐにその何倍もの課題が新しく現れてきます。そしてこれらの課題は、課題達成のための行動の側面から見ると次の2つに大別されます。
1つは何かをやることによって、同時に達成されるような課題、例えば職務遂行に関わる専門知識が不足していて、その勉強をすることが課題であった場合、もちろん専門書の読書という方法もありますが、どちらかと言えば、このような課題は毎日の職務を遂行する中から体得することが容易であり、また合理的です。いわゆるOJT(On the Job Training:職務遂行を通じた教育訓練)の論理です。
このような課題の場合は、課題達成のための特別の時間を捻出する必要はありません。仕事に対する取り組み姿勢を変えれば達成できる課題です。
課題のもう1つの種類は、その達成のためには、今までの時間の使い方では難しいので、その達成のための特別の時間を捻出する必要があるような課題です。
例えば、将来のために何か資格を取ることが自分の課題だとした場合、資格取得のための受験勉強は1日の生活の中にそのための時間を捻出しなければ、いつまでたっても勉強は先に進みません。
忙しい毎日の中で、このような種類の課題を達成することが、実は大変困難なのです。そのための時間の捻出ができないばかりに、その課題達成が行き詰まり、結果的に目標達成を諦めたり、夢を諦めたりしてしまう例は枚挙にいとまがありません。
まずは自分の課題の中のどれがこの種類の課題なのかを確認することが必要です。
特別な時間を必要とする課題達成のための時間を捻出するためには、まず自分の時間の使い方を分析することが必要です。まず自分の標準的な1週間(急な出張が入ったり、病気でダウンしてしまったような週は標準的な1週間ではありません)を抜き出して、その7日間の朝起きてから夜寝るまでの全ての行動を分析します。
そのためには自分の行動を幾つかに分類しておくと良いでしょう。そして、各分類ごとに1週間の合計実時間を記録するのです。分類は以下を参考にしてください。
- 仕事関係の時間(会議、資料作成、商談等々)
- 移動時間(これは日常の出退勤と出張、客先への移動を分けて分析した方が良いでしょう)
- 勉強時間(これも仕事関係の勉強時間と趣味、教養関係の勉強時間を分けて分析した方が良いでしょう)
- 交際時間(飲み会や会食、デート等)
- 運動時間(自分が運動を目的とした時間)
- 趣味、娯楽時間(自分の趣味や娯楽のための時間)
- その他の時間
一般的にこのような分類で時間活用を分析すると、次のような結果が出てくることが多いようです。
仕事上の会議の時間が多い、両方の勉強時間が極めて少ない(ほとんど勉強していないということです)、運動時間がほとんどない、何となく過ごしてしまった「その他の時間」が多い等々です。
また分類全体として分析したときには、毎日が単調だ、休日の使い方がうまくない等々の分析がよく見られます。
以上の分析結果から時間活用の問題点や無駄な点を発見し、それをどのように改善するかを考えてください。そして、このように1週間を使いたいという、自分の「理想の1週間」を表の形で書くとよいでしょう。そして年に2回くらい、この1週間の行動分析を行い、理想と現実の差を確認し、さらに改善を重ねていくという方法が、時間の使い方がうまくなる近道です。是非、試してみてください。