7アクションプランを作る
7.1 ビジョンまでの大きな流れを把握する
キャリアデザインもとうとうアクションプラン作成段階まで来ました。
今までいろいろなことを考えてきましたが、あえて言えば所詮、机上の空論です。どんなに魅力的なビジョンでも、どんなに立派な目標でも、ただ紙に書いてあるだけではほとんど意味はありません。その実現、達成へ向けて着実に行動を積み重ね(これを実現行動と言います)、自分が望んでいたものを手に入れて初めて自分にとって価値があるのです。
そのためにもこの章では実現行動の側から見たときの適切な目標の設定と行動計画の作成について考えて行きます。
(1)ビジョンから遡って目標を設定する
私たちは一般的に目標を設定するときには、現在に近い時点から設定して行きます。例えば3年間の目標を設定しようとするときには、まず来年の目標を設定し、次に再来年の目標を設定し、最後に3年後の目標を設定します。これを積み上げ型あるいは延長型の目標設定といいます。
しかし「ビジョンを実現するための」目標を設定するときは、既に何年かの後の到達地点としてビジョンがあるわけですから、何も積み上げ型、延長型で目標を設定する必要はありません。遡り型で目標を設定したほうがビジョンまでの流れを作るには適しています。 例えば5年後のビジョンがある場合には、まず初めに4年後の目標を設定します。次に3年後、2年後と遡り、最後に来年の目標を設定します。
つまり5年後にビジョンに到達するためには4年後はどこを通過している必要があるかという「目標=通過地点」という発想です。目標はビジョン実現という目的から見たらひとつの手段なのです。
期間中に目標達成を目指しているときには目標達成=目的となりますが、ビジョンからみたら目標達成は手段なのです。この、何が目的で何が手段なのかという発想は非常に重要なことですからしっかりと身につけてください。
(2)目標は達成の評価ができるように設定する
目標設定に当たっては、その目標が期限と到達点が明示され、それが達成できたのかどうかが自分で評価できるように表現することが大切です。
「数年後には人から認められるようになる」では期限も到達点もあいまいです。「3年後には人から認められるようになる」では期限は明らかですが到達点があいまいです。「3年後には○○の資格を取得している」でようやく期限と到達点の両方が明らかになります。
このように期限と到達点が明示されていれば、その目標が達されたのかどうかが自分でもハッキリと評価できます。期限でも到達点でも、どちらかが充たされていなければそれは目標達成がうまく行かなかったということになります。
(3)設定した目標を大きな流れとして並べてみる
(1)(2)のようにして設定した目標は、今度は時間の流れに沿って、つまり現在に近い方の目標から順に並べてみて、頭の中で現在からビジョンまでの大きな流れをイメージします。
いつ頃、どんな通過地点を通過していくと希望通りの時にビジョンに到達するのかをイメージしてみるのです。
自分が一つひとつの目標をクリアーしていって、ビジョンに到達するイメージが鮮明に描けるならば、恐らくそれらの目標はかなり適切に設定されているといって良いでしょう。
ところが順に目標をたどっていっても何だか目標が飛びすぎている感じがするとか、この目標を順に達成していって本当にビジョンに到達するのだろうかという感じを持ってしまったならば、それらの目標は飛躍しすぎているか、大事な要素を漏らしているか、何らかの意味で目標が不十分である可能性が高いと思われます。こんな時は是非、目標の再点検をしてみてください。
こうしてビジョンまでの通過地点としての目標が設定されたら、次は現在から順に次の目標までを行動計画でつないで行きます。現在から来年の目標までの計画、来年の目標から再来年の目標までの計画という順で作って行くのです。この、「目標設定は遡り発想で、計画は積み上げ発想で」はいろいろな目標、計画作りでも応用できますから、しっかりと身につけてください。