6これからの人生の課題の確認
6.5 課題の優先順位(あれもこれもから、あれかこれかへ)
(1)はじめは「あれも、これも」を書き出してみる
自分のビジョンを実現したり、目先の問題解決をしたり、与えられた課題を達成したりと、私たちはやらなければならない事柄に取り囲まれています。あれもやらなければ、これもやらなければと考えると頭が割れそうになることもあります。
しかし、はじめはこのように、やらなければならないことを何もかも書き出してみることが大切です。そう「書き出してみる」ことが大切なのです。人は頭の中でやらなければならないことをおおよそ分かっているつもりになっていますが、これはあまり当てになりません。「おおよそ分かっている」に頼っていて、ある時とんでもない抜け落ちに気がついて愕然とした経験はありませんか。
とにもかくにも自分は現在のため、将来のために何をしなければならないのか、思いつくものを全て書き出すことから課題の確認はスタートします。そして、もしも可能ならば、それらの課題を分類してみるとより分かりやすくなるでしょう。
(2)自分の制約条件を確認する
さて全ての課題を書き出したところで、次にすべきは自分の制約条件を明らかにすることです。まず自分自身の制約条件としては、自分の能力的条件(今の自分にそれができるのかどうか)、経済的条件(そのための資金があるのかどうか)、時間的条件(そのための時間を取れるのかどうか)があげられるでしょう。これらも含め、自分の側の制約条件を確認しながら、課題をふるいに掛け、場合によってはその課題を先延ばしにする、諦めるといったことも起こるかもしれません。
次に自分を取り巻く環境上の制約条件を確認します。自分の立場上それができるのかどうか、それができる条件が整っているのかどうか等により、同じく課題を先延ばしにしたり、諦めることも起こるかもしれません。
(3)自分なりの優先順位を明確化する
このような2つの制約条件のフィルターを通して、それでも残った課題は、条件的には一応、着手可能であるということになります。しかし問題は個々の課題は条件をクリアーしたとしても、それらの総和としての全ての課題を実行することが物理的に可能かどうかということです。やりたい、あるいはやらなければならない気持ちはやまやまでも、本当にそれだけの課題を全て自分はできるのか。やりたいこととできることにはおのずとギャップがあります。
このギャップを埋めて、実現できる範囲での課題を残すには、最終的には優先順位のフィルターを通す必要があります。これは自分の価値判断基準により形成されます。あれもこれもが難しく、あれかこれかにしなければならないときに、自分は何をよりどころにして取捨選択するかということです。
まず1つの基準は自分の価値観、すなわち自分にとって最も大事なことは何かということです。次に基準になりうるものは自分の欲求の強さです。今、最もやりたいことは何かということです。このような内的な基準をまず先行させて考えてみて下さい。
その上で、社会的、社内的な役割等において、自分が優先的に考えなければならないことは何かを考えることが大切です。この順番を逆にしてしまうと、いつまでたっても人のためにしか行動できず、自分のための行動がいつでも後回しになってしまうからです。
もちろん内的基準と外的基準のどちらを大事にするかということもひとつの価値判断基準ですから一概には言えませんが、所詮、自分の人生は自分しか生きることはできません。誰か他人が自分の人生を生きてくれることは有り得ないわけです。
人のためか自分のためかということは、社会的存在としての人間においては大変難しい問題ですが、自分の課題を設定するときに、それらの課題が概してどちらの側の課題が多いか点検してみて下さい。そして、それで本当に良いのかどうかを自問自答してみて下さい。
逆にそのような自問自答の中から、本当の自分にとっての優先順位が見えてくることもあるかもしれません。そして優先順位の高い課題が明確になったら、残りの課題はきれいさっぱり捨てることが最も大事なことです。ここで未練がましいことを考えると、優先順位の概念そのものが崩れていってしまいます。要注意です。