7アクションプランを作る
7.3 自分の行動イメージをつかむ(イメージの湧かない行動は実行)
(1)行動のイメージを高めるには
例えば自己啓発の一環として何か資格を取ろうと思い、そのための勉強をする計画を例にとって考えてみましょう。
このような行動計画を作る場合、「専門学校に通う」「専門書を読む」「友達と勉強会をやる」「模擬試験を受ける」のような、前節の言葉を使うと「What」だけが出てきて、あとはスケジュール表に矢印が引かれたり、手帳の中に日時が書き込まれて、それで行動計画ができたとしてしまう場合が多いようです。
しかし、これでは自分が何かをやっているイメージが自分の頭の中に鮮明に描かれることはありません。非常に形式的な計画になってしまいます。行動のイメージが鮮明に描けない計画は自分が何をするのかが不明確もしくはあいまいなままですから、どうしても行動することへの気持ちの盛り上がりが今ひとつになってしまいます。
例えば先ほど例示した「専門学校に通う」一つとっても、「○○駅の目の前にある学校」「時間によっては駅前のマックでハンバーガーを食べてから行く」「○君と一緒に行く」「今日は必要なテキストを3冊持っていく」のような補足的な情報が加わると、専門学校に通うイメージがより鮮明になります。これにさらに、学校でも駅前でも教室でもよいですから、その風景や様子を簡単な「絵」で描き加えると、もっとイメージが鮮明になります。
「専門書を読む」も同様です。「自分の部屋で読む」「○○の図書館で読む」「○○の喫茶店で読む」「移動中の電車の中で読む」といった場所のイメージや、「○○のテキストの××ページから××ページまでを読む」「専門書を読みながら、その科目のノートに必要箇所を書き写す」のような本の読み方を具体的に表すと、自分の行動がより鮮明にイメージできます。もちろん絵で描き表せそうなものは絵を描き加えます。
このように、自分がどこで、何をやっているのか、その行動イメージが自分の頭の中に思い浮かぶような補足をすることがポイントです。そのためには今まで示したように、かなり具体的な事柄を書き出すことが必要です。
どうですか、あなたが今まで1週間の行動予定を立てたりするのとはずいぶん違う作業だということに気がつきましたか。
(2)計画表を工夫する
(1)のような補足情報を書き足した、行動のイメージが湧きやすい計画をつくりには、計画表も工夫をするとよいでしょう。
まず「手帳」は計画表ではないことを理解してください。手帳はスケジュール管理ツールであり、行動計画を作成し、それをマネジメントするツールではありません。どちらかと言えばキャリアマネジメントに関わる行動計画はある種のプロジェクトマネジメントですから、それなりのツール(計画表)を用意した方がベターです。ただしプロジェクトマネジメント・ツールは無味乾燥で面白みがないので、自分なりに工夫をして、いろいろな補足情報が書けるようにしたほうが良いでしょう。
また、徐々に行動計画を作成・実行し、それにつれてさらにその先の計画を作るようになったら、よく出てくる事柄をシンボルマークにするのもよいでしょう。例えば「専門学校通学」を学校の入り口の絵にしたり、「専門書を読む」を本の絵にしたりして、計画表によく出てくる項目をビジュアル化すると計画作成の面倒が少なくなり、またシンボルマークから場所や課題をイメージすることによって、連鎖的に自分の行動イメージが湧いてくるというメリットがあります。
(3)毎日、行動計画表を眺める
このようにして、かなり細かい具体的なことまで書かれ、さらに随所に絵やシンボルマークも書いてある計画表は、恐らく眺めていても楽しいものになるでしょう。そしてこの計画表を毎日眺めるのです。これを続けると面白いことが起こります。
それはいつの間にか、自分がいつ、どこで、誰と、何をしているのかが、かなり具体的に頭に入ってくるのです。それもまるで映像のように、自分がそのことをやっているイメージが頭に浮かんでくるようになります。こうなれば、その計画を実行することに何の心理的抵抗もなくなります。つまり計画が、計画通りに実行されることになるのです。