7アクションプランを作る
7.4 アクションプランの「のりしろ」
(1)「のりしろ」とは余裕のこと
アクションプランすなわち行動計画を作るときに目いっぱいの計画を作ってしまうと、途中で何かあったときに、計画の全てに狂いが生じてしまい、結果的に計画を見直したり、最悪の場合は計画を一から作り直さなければならないというようなことも起こりえます。
特に計画の遅れは全体に対するマイナスの影響が大きいので、遅れ対策としてののりしろが重要な意味を持ってきます。
環境は随時変化していますから、この環境の変化に対する柔軟性つまり一定以上の余裕を持った計画でないと現実的ではないということになるのです。
つまり計画ののりしろを設けるには時間的な余裕を見るということです。ではどの程度の余裕を見ればよいのでしょうか。あまり余裕を見すぎては間延びした計画になってしまい、これはこれで非現実的な計画になってしまいます。
ひとつの目安は遅れを取り戻すための回復時間をどれだけ見るかということです。例えば必要資金を貯めるために6ヶ月の期間を取り、7ヶ月目にはその資金を使って次のアクションに移るという計画を例にとりましょう。
この場合、計画通り6ヶ月で資金が貯まらなければ7ヶ月目以降の計画を全て見直す必要が出てきます。そこで最悪6ヶ月で資金がたまらないときにはあとどれくらいの期間があれば間違いなく必要資金が貯まるかという目算を立てます。それが最長で3ヶ月だとするならば、当初計画は資金の蓄えに9ヶ月を要し、10ヶ月目から次の行動に移るという計画にしておくのが無難であり現実的です。
仮に9ヶ月かからずに8ヶ月で資金が貯まった場合は、次の計画を1ヶ月前倒しにするだけですから、遅れてしまうことに比べればほとんど実害はないはずです。また全体の計画前倒しが難しければ、余裕ができた時間に別な短期課題を挿入すれば全体としての効率が下がることはありません。
(2)もうひとつの余裕対策
計画にもうひとつの余裕対策を講じるとするならば、それはもう1つ別の計画をあらかじめ作っておくということです。これをコンティンジェンシープラン(不測事象対応計画)といいます。
すべて順調に行った場合のAプランしか用意していないと、何か不測事象が起こったときに計画自体の見直しや作り直しを迫られます。そこで○○のような事態が発生した場合のBプラン、××のような事態が発生した場合のCプランのように、ある程度予測をはたらかせながら複数の行動計画を持っていると、いざ不測事象が発生したときにすぐ次の計画にスイッチすることができ、実際の時間的ロスが最少化されます。
また、このような複数のプラン作りを行うことは、結果的に緻密な情勢分析をすることになり、1つひとつの計画の精度も高まってきます。
(3)余裕のある計画を作るために
例えばクルマを利用した旅行計画を作るときに、高速道路は時速70キロ、一般道路は時速40キロくらいで計画を立てたほうが現実的です。それを高速道路では時速100キロ、一般道路では時速50キロなどという、走れないことはないだろうが無理を前提とした計画では、何かあったときに遅れを取り戻そうと無理をして事故を起こすことになりかねません。
つまり「車の走行速度」のような自分のアクションのスピード感覚を少し低めに見積もって計画を立てるのが現実的です。普段は専門書ならば1冊5日間で読めるという人が、だからといって1年に73冊の本を読むという計画を作ったとしたらそれは相当無謀な計画です。
確かに「普段」は1冊5日間で読めるのでしょうが、1年計画となると、その間、何が起こるか分かりません。そのアローアンスを2割見て、年間58冊程度の読書計画を立てるのが現実的ではないでしょうか。
これは例えば何か難しい資格を取得するための受験勉強に置き換えると、無理な計画を前提にしてしまうと資格取得自体が困難になってしまうことがあるので注意が必要です。