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医療・福祉
介護老人保健施設
【介護老人保健施設 業界動向】
 平成12年度から始まった「介護保険制度」を支える機能の1つとされている介護老人保健施設は、介護保険の被保険者で、市町村による要介護認定によって「要介護状態」(一部例外もあり)であると認定された人が利用できる。設置形態は、病院や特別養護老人ホームに併設されている「併設型」と、単独で開設されている「独立型」の2つがある。厚生労働省の統計によると、平成15年9月末現在、介護老人保健施設の数は全国で3013ヵ所。利用者数は24万5268人(定員の91.0%)となっている。

 介護老人保健施設の場合、入院治療を必要としない要介護者のための場所という位置づけになるので、主に機能回復、家庭復帰を目的としたリハビリテーション機能が充実しているという特徴がある。しかし実際には特別養護老人ホームの定員から溢れてしまい、やむを得ず介護老人保健施設の利用に回っている待機者が多数存在しているようだ。

 「要介護状態」には症状の重さによって1〜5までの介護度があるが、両施設における利用者の平均介護度を見ても、特別養護老人ホームが3.63、介護老人保健施設が3.17(平成15年9月末現在、厚生労働省の統計より)と、あまりその差がないことが分かる。

 高齢化社会によって要介護者が増えている一方で、介護度に応じた福祉サービスがきちんと受けられていない現状の中、その数が足りないとされる特別養護老人ホームの建設、供給を早急に進めるのはもちろんのこと、介護老人保健施設についても、重度の要介護状態にある利用者にも対応できるケアの向上に力を入れる必要が出てきている。

 よって、機能としては特別養護老人ホームにだんだん近づいていく事も考えられるため、利用者やその家族、さらには職員などの従事者、それぞれに過度の負担が掛からないよう配慮した福祉施設の体制をいま一度考え直す(例:施設に関する枠組みの見直し、許認可制による民間の参入)ことも視野に入れなければならないだろう。

 高齢化社会の進行による市場拡大を受けて、在宅や施設での高齢者介護事業を手がける企業が増え、積極的な設備投資で事業を拡大してきた。しかし、平成18年4月の介護保険制度改正で給付が一部削減された、軽度要介護者向けのサービスを中心に提供してきた企業の中には、需要が減少して業績が伸び悩む企業も出てきている。各社とも利益確保が見込める部門のサービス拡大に重点を置きたいところであるが、利潤を追求するばかりでなく、被介護者を最優先に考えた満足度の高いサービスの提供で、今後ますます進行していく高齢化社会を明るく豊かにしていってもらいたいものだ。

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