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転職サイトPROSEEK > 転職コラム > 仕事のモチベーション > vol.04 経沢香保子氏 (株式会社トレンダーズ)
プロフィール

千葉県生まれ。97年慶応義塾大学経済学部卒業。同年リクルート入社、新人の営業職の中でトップの成績を上げる。98年ヘッドハンティングで教育研修・アウトソーシングのエイ・ワイ・エー・ネットワーク入社、新規事業の立ち上げ、100人近い人材採用などを担当。99年楽天入社、社長特命事項や「楽天大学」の設立を手掛ける。2000年4月トレンダーズ設立、代表取締役就任。
<会社概要>
F1層(20〜34歳の女性)の消費動向を企業に提供するマーケティングサービスや、中小企業のPRを代行する「広報担当」、ネイリスト派遣の「エブリネイル」、Web制作サービスなどユニークなサービスを次々と展開。関連会社で「女性起業塾」を主催。 HPはこちら
経沢社長は「IBM ThinkPad」のイメージキャラクターとして登場
「求める人材像」
素直で一生懸命な人がいいですね。当社はマーケティングの会社ですから、世の中を広く冷静に見ることがとても大切です。
「女性起業塾」受講風景
起業志向の高い女性で常に満席

――リクルートの新人時代「名刺獲得キャンペーン」で550枚もの名刺を集め関東No.1になったことが有名です。なぜここまで徹底的に仕事ができたのでしょうか?
経沢:やはり仕事が好きなんだと思います。ただ求人広告の営業は新人でもベテランでも頂く値段は同じなのが、お客様に申し訳ないという気持ちが強かったのです。ベテランとはお客様に提供できる情報や業界知識に大きな差がありますよね。だから、過去の企画書を読んだりお客様の業界や会社を事前に十分調べていたので、始発で出社し終電で帰宅しても時間が足りないぐらいでした。
――営業成績もトップクラスだったそうですね?
経沢:営業は「数×質」だと思います。もし目標が「新規顧客10件獲得」ならば、成約率1%だったら1000社へアプローチしようと考えます。リストが不足していれば飛び込みで何件補うか考えました。会社はいつか必ず求人をします。そのとき私を思い出していただけるようFAXレターを作り、定期的に送信しました。そうやって汗水たらして実績を積み重ねていました。
――その後2度転職し、どちらも成功しています。その秘訣は?
経沢:私は「転職者が入社した会社に一番の価値を発揮できるのは転職した瞬間ではないか?」と感じました。入社数日は会社のことを客観的にみれておかしい点にもすぐ気づきます。そうして得た入社直後の気付きを形にすれば、「この人は使える」と思わせることができる。そうすれば後はものすごく楽になると思います。逆に入社直後にマイナスのイメージが付いたら、挽回するのはかなり大変かもしれません。
――経沢さんの転職直後のエピソードを教えてください。
経沢:楽天に入社した直後「1500万円分の雑誌広告枠を1週間で売り切れ」という三木谷社長の特命事項がありました。私はアプローチ先を楽天の出店店舗から、広告を出す余裕がありそうな売り上げ上位300社に絞り込み、「御社を取材して雑誌に掲載します」というノリでDM原稿を作成、夜のうちにファックスDMを送信しておきました。翌日の反響に好感触を得た私は「あとは営業のやる気次第」と思い、社長にお願いしてポケットマネーからインセンティブを出していただきました。そしてインセンティブを獲得した営業マンの成功トークを貼り出して成功事例を共有すると、あっという間に全部売れてしまったんですよ。
――ネット通販を教える「楽天大学」を立ち上げたそうですね。
経沢:実は教育事業の立ち上げは前職で経験していました。その会社は年間数千万円の採用広告費をかけて人材を募集、接客などの教育を行って派遣していました。だったら教育機関を作ってそこで学んだ人を採用すればいいのではないか、と提案したんです。そうすれば採用費も減るし授業料も徴収できる(笑)。資格ブームだったので「モバイルアドバイザー」という資格を作り、取得者を優先的に採用しました。優秀な人材を採用できて、本人は資格が取れる、一挙両得のアイデアでした。
――社長になって役立った会社員時代の経験を教えてください。
経沢:営業経験と社長の近くで仕事をしたことですね。特に創業期の社長は営業力がすべてだと思います。お客様に商品を買ってもらうのも、人の採用も営業です。また営業の現場にいると“商売勘”が鋭くなります。なので、人が何にお金を払いたがるかが手に取るように分かりますね。その感覚が当社のサービス開発に生かされていると思います。リクルートの営業時代「目標に対する執念」を叩き込まれたのもいい経験でした。

2社目の会社で社長と仕事をする機会が多くありました。そこで教えられたのが、社長は常にどうやって売り上げを上げて、それをいかに永続させる仕組みを作るかということです。私はそれまで営業成績をいかに上げるか考えていましたが、社長はゼロからそれを作ることを考えるのが仕事なんです。楽天の三木谷社長からはMBA流の戦略思考をインプットされました。社長、特に創業社長の近くで仕事すると、すごく勉強になると思いました。
――社長になって新たに学んだこと、苦労した点も多かったのでは?
経沢:まず言えるのが「社長に逃げ道はない」ということですかね。自分自身で物事が良くなるよう努力しなければ誰も助けてくれないのです。
苦労したのはマネジメントですね。私はそれまでスーパー営業マンとして1人で売上を上げるのは得意でした。でもそのまま社長になったから、人を雇っても自分と同じようにできないのがもどかしかったです。今考えると当たり前の話ですが、当時は真剣に悩みました。でも仲間の起業家に相談したら、「それは社長になれば、誰しも抱えてる悩み」だと分かって助けられました。ステージが上がれば、求められるレベルも高くなる。自分に足りないスキルは足してゆけばいいという気持ちになれましたね。
――「人生を味わい尽くす」 ことが個人的なテーマだと聞いています。
経沢:私は「人生全体でバランスが取れていればいい」と思っていて、仕事に集中する時期があっても、一段落したら目一杯遊びます。会社を設立した当初は私もがむしゃらに働きましたが、今では大部分をスタッフに任せています。むしろ冷静に状況を分析したり面白いアイデアを出すことが、私に求められている役割です。なので、私がワーカホリックだったら、いいアイデアも生まれませんよね。だからいつもご機嫌でいられるように心がけています。それにはゆっくり楽しい食事をして、たくさん旅行に出かけます(笑)。でも精神のバランスが取れていると、身体のバランスも保たれて不思議といつも健康です。
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