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転職サイトPROSEEK > 転職コラム > 仕事のモチベーション > vol.12 安田佳生氏 (株式会社ワイキューブ)
プロフィール

1965年大阪府生まれ。オレゴン州立大学(生物学専攻)卒業後、リクルートに営業職として入社。90年ワイキューブ設立。多くの事業を立ち上げ、失敗も経験。現在では人材・経営コンサルティング事業で年商30億円突破。人気コンサルタントとして講演多数。著書にベストセラー『採用の超プロが教える できる人できない人』『採用の超プロが教える伸ばす社長つぶす社長 』などがある。
<会社概要>
中堅・ベンチャー企業の経営・人材コンサルティングを手掛け、多くの経営者から絶大な支持を集めている。電話営業をしない、取引先を選ぶなど、独自の営業戦略で業績を伸ばし注目されている。モデルルームのような快適なオフィスも話題になっている。
ワイキューブ本社・エントランス。駅前に立地するカフェ風のオフィスに、レストランだと間違えて入ってくる人も多いという。
ワイキューブ本社・地下プールバー「エルバージュ」。ここで社員はバーの楽しみ方を学ぶ。

―――リクルート時代、新規開拓で日本一に輝いたことがあるとか。
安田:新人で期待されていなかったから目標が低く、大型クライアントの受注で達成率が高かっただけです。最初は本当に売れない営業で、1つのアポすら取れませんでした。入社3カ月間、売り上げゼロが続き、周囲から「月給ドロボー!」と非難されました(笑)。先輩が「発声練習をやれ」というので、そんな非論理的な練習は嫌でしたが、仕方がなく声を出す訓練をしました。すると徐々に売れるようになったのです。
―――初受注の思い出などはありませんか?
安田:初受注は事務所の大阪から離れた、奈良の事務機器販売会社でした。当時は朝から晩まで電話でアポを取る仕事だったので、往復する3時間、電話掛けをサボれるのが嬉しかったですね(笑)。自分は営業に向いてないと思っていたし、電話は掛けるのも取るのも嫌でした。しかし、大声を出す訓練で、何かふっきれたようです。それまで私は大声など出したこともなく、驚いても声が出ないような人間でしたから。
―――入社わずか2年で独立なさったそうですね。

安田:当初はサラリーマンを2年経験して、独立しようと決めていたのですが、1年8カ月しか持ちませんでした。もともとサラリーマンが嫌で、その生活に耐えられなかったのです。退職するとき決めていたのは、社名とオフィス、会社のロゴだけで、事業内容は決めていませんでした。

会社を始めてからは、思い付いた商売に全部手を出しました。土地勘のあった採用パンフレットの制作で稼ぎながら、アメリカで日本人向け新聞を創刊したり、柱時計の輸入などを手掛けました。しかし、柱時計は600万円近い見本品を組み立てる途中で壊してしまいあきらめました。新聞は2000万円投資して、広告を取れたのはたった1社、広告料は3万円だけでした(笑)。それでもパンフ制作などで、会社を年商5億円規模にしました。

会社が年商5億円前後で伸び悩んでいたので、社員約20名のところに2年間で一気に35名も採用して、2億円かけて自社採用媒体を立ち上げました。勝負しないと会社は大きくなりません。その勢いで新宿の有名オフィスビルに約300坪のオフィスを借りて、月間1200万円の賃貸料を払っていました。年商20億円になる想定でやったことですが、結果は年商が1億円増えただけ。当然、大幅赤字に転落しました。
―――大きな痛手を受けて、すぐに気持ちを切り替えましたか?
安田:しばらくの間は、引きずってましたね。早稲田の小さなオフィスに移転して、やっとふっきれたと思います。それから好きでもない営業に立つなど、必死に働きましたが、約2年間、業績は低迷したままでした。ところがその後、当社の業績が上向き始めました。かつて一挙に採用した優秀な人材が、当社の中心メンバーとして活躍し始めたのです。その間、ボーナスを5万円しか払えない時期もあり、辞めてゆく人もいましたが、結果的にあの勝負は正しかったのです。前期、年商30億円を突破しました。
―――商売のやり方も変わったのでしょうか?
安田:それまでヒトとモノ、勢いがあれば、必ず売れると思っていました。でも、それだけでは売れないと分かり、改めてどうすれば売れるか考えるようになりました。現在の主力事業「新卒採用コンサルティング」は、儲かると思って始めましたが、リクルートという業界のガリバーが図抜けた高単価を維持し、同業他社はその半値以下で商売している状況でした。ところが当社は、猛然と値上げを繰り返し、商品内容も変え、ついにリクルートの倍以上の単価で勝負していました。まず自分から単価を上げることによって、売り方や商品に工夫が生まれ、自分たちの実力が高まるのだと思います。
―――御社は電話営業を止めたり、取引先を選んでいます。

安田:それまでの電話営業中心のスタイルから、DM・広告・セミナー中心のインバウンド型の営業に改めました。取引先も「取引しない会社チェックリスト」を作成し、うるさい会社、値切る会社などとは、こちらから取引を断りました。本当はどの会社だって、売り込むことも、嫌な客との取引も、できれば避けたいと思っているはずです。当社はやりたくないことを、やらないで済む方法を考えたのです。それにはまず、今やっていることを止める必要があります。そうしなければ、新たな戦略を考える時間が生まれません。徐々に新しい方法を増やしながら、今までのやり方を減らすなんて絶対に無理なんです。

―――転職活動中の読者に“採用の超プロ”から、ひと言アドバイスをお願いします。
安田:厳しいようですが、基本的に転職市場に出てくる人は、「前職で成果を挙げられなかった人」だと考えています。なぜなら成果を上げている人は、ヘッドハンティングされるか、現職でいい待遇を得ているので、めったに転職しないからです。会社を辞めた人は、理由はどうあれ「会社を辞めた原因は100%自分にある」と認めてください。1%でも相手に非があると考えた瞬間、あなたは何1つ成長できません。別の会社に移っても、同じことを繰り返すだけでしょう。もう1つ言えるのは、今の仕事で成果が上げられない人は、確実に何かを変えねばならないということです。仕事のやり方や考え方はもちろん、人によっては環境つまり仕事を変えるべきかもしれません。その場合、これまで何が悪くて、これからそれをどう変えるのか、面接で正直に言うべきだと思います。
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