安田:当初はサラリーマンを2年経験して、独立しようと決めていたのですが、1年8カ月しか持ちませんでした。もともとサラリーマンが嫌で、その生活に耐えられなかったのです。退職するとき決めていたのは、社名とオフィス、会社のロゴだけで、事業内容は決めていませんでした。 会社を始めてからは、思い付いた商売に全部手を出しました。土地勘のあった採用パンフレットの制作で稼ぎながら、アメリカで日本人向け新聞を創刊したり、柱時計の輸入などを手掛けました。しかし、柱時計は600万円近い見本品を組み立てる途中で壊してしまいあきらめました。新聞は2000万円投資して、広告を取れたのはたった1社、広告料は3万円だけでした(笑)。それでもパンフ制作などで、会社を年商5億円規模にしました。
安田:それまでの電話営業中心のスタイルから、DM・広告・セミナー中心のインバウンド型の営業に改めました。取引先も「取引しない会社チェックリスト」を作成し、うるさい会社、値切る会社などとは、こちらから取引を断りました。本当はどの会社だって、売り込むことも、嫌な客との取引も、できれば避けたいと思っているはずです。当社はやりたくないことを、やらないで済む方法を考えたのです。それにはまず、今やっていることを止める必要があります。そうしなければ、新たな戦略を考える時間が生まれません。徐々に新しい方法を増やしながら、今までのやり方を減らすなんて絶対に無理なんです。